Animaless Zoo Project
sleeping wallaby
この日はとてもよく晴れていて、朝から動物園に出かけた。
一人でぶらぶらその中を歩いていると、
「ワラビーは歳をとっているため、お部屋で寝ています」という看板が目に入った。
裏に回ってガラス越しにその部屋をのぞくと、ワラビーが一匹、牧草の上に寝転んでいた。
顔がよく見えないな、と覗き込んでいるとそいつはピクピクと痙攣を起こし始めた。
その後どれくらい経ってからだろうか、突然後ろの足を大きく前後にバタつかせた後、ぴくりとも動かなくなった。
しばらくじっと見ていたが、動き出す気配はまるでなく
「あ、もしかしたら死んだのかも。」という思いが頭をよぎった。
一見すると寝ているようにしか見えないのだが、時間が経てば経つほど、見れば見るほど、その思いは強くなっていった。
そしてその横を「ワラビーさんおねんねしてるねー。かわいいねー。」などと言いながら通り過ぎていく親子連れなど
幾人もの観客の言葉を耳にしながら、興奮となんだか強い感情がじわじわと湧き上がってきた。
この時期は、テレビや新聞やなんかで、動物園で赤ちゃんが生まれたというニュースをよく目や耳にする。
このときも、この後動物園の飼育係の人にフェネックとリスの赤ちゃんが先週生まれているんだけど、まだ見れないとか、
ヤギの赤ちゃんは最近ようやく公開したとか、ツルの赤ちゃんも生まれたんだけど、カラスに食べられてしまった。
とか、教えてもらった。
2002-2005